管理費滞納の依頼を受けた弁護士が、どのように回収を図るのかを考えてみます。

 

まずは具体的な滞納額、滞納の開始時期、滞納している区分所有者の勤務先や家族構成、住宅ローンの残額、マンションの価値(いくらで売れるか)などを分かる範囲で調査します。

 

その上で、最終的にどのような形で決着させるのがスピーディーでローコストかを考えます。

 

例えば、滞納額がまだ少ない場合は、相手方を説得して分割払いで解決することをまずは検討します。

また、勤務先が分かっているような場合であれば、裁判を行なった上で、給料を差し押さえること(あるいは給料の差押えをちらつかせて和解に持ち込むこと)を検討します。

また、住宅ローンの返済が進んでいて、マンションの価値が住宅ローンの残額を上回る場合は、マンションを競売して売却代金回収すること(あるいは競売をちらつかせて和解に持ち込むこと)を検討します。

 

もっとも、管理費を滞納している人は、お金に困っている場合が多いので、現実的にはそのようなお話しに持ち込むことが難しい場合もあります。それでも、支払わなければ給料の差押えを受けたり、部屋を競売されて住むところがなくなったりするくらいなら、ちょっと無理をしてでも支払おうと和解に応じてくれることも多いのです。

 

ただ、そのためには、交渉が決裂すれば差押えや競売が現実に迫っているという瀬戸際の緊張感が必要なのです。その意味でも弁護士に依頼して弁護士が交渉を行うこと自体が、問題を解決する方向に導きやすいという側面があるのです。

 

ところで、世の中ではたくさんの弁護士が様々な分野で活動していますが、区分所有法に詳しい弁護士は、実はさほど多くありません。

前回、少し申し上げたように、区分所有法には滞納の問題を解決するのに役立つ制度がいくつか設けられています。

しかし、滞納の問題を解決する上で、区分所有法の知識がないということは、本来使えるはずの武器の存在を知らずに、敢えて不利な方法で戦うようなものです。

 

よって、滞納問題をスピーディーに、スマートに解決するなら、区分所有法に詳しい弁護士に依頼することがマストなのです。