分譲マンションの所有者は、そのマンションの管理組合の組合員となりますので、管理組合を運営する上で必要不可欠な管理費は必ず支払わなければなりません。

 

しかし、住人の中には、管理費を支払わずに管理組合を困らせている方が、たまにいらっしゃるのも事実です。このような滞納者は、マンションが古くなるにつれ、少しずつ増えてくる傾向があります。

 

弁護士をしていると、このような滞納の案件は、分譲マンションの管理費だけではなく、賃貸マンションの家賃や病院での治療費など、さまざまな場面で遭遇しますが、このような問題において必ずと言っていいほど当てはまることがあります。

 

それは「滞納は、放置すればするほど回収が難しくなる!」ということです。

 

滞納が始まった当初は金額的にもそれほど多くないので、支払えない事情(例えば、失業や家族の不幸など)があったとしても、少し頑張ってもらって滞納を解消することも難しくありません。

 

ところが、相談に来られる方の中には、数年間にわたって滞納が続き、何十万円、あるいは何百万円になってから、ようやく対応されるという場合も多いのです。

 

たとえば、賃貸の大家さんなどがこのような状態になってしまうのは、お金に困っている方にきつく言って回収するのもかわいそうなので・・・というパターンが多いのですが、マンションの管理費の場合は少し事情が異なります。

 

分譲マンションの管理組合の管理費滞納が長期にわたって解消されない理由はいくつかあります。

ひとつは、理事メンバーが1年交替なので、強い対応をする前に任期切れで翌年持ち越しとなってしまうことが挙げられます。

また、理事メンバーが同じマンションの住人に対して強硬な手段を取ることを躊躇してしまうということもあります。

さらには、理事メンバーの当事者意識が低く、滞納問題を他人事のように捉えてしまうという傾向もあります。

 

このようなことが重なって、「自分のお金のことじゃないのにめんどくさいなー。○○さんとは子どもが友達同士だし揉めたくないよなー。上手くいかずに文句言われるのも嫌だなー。そうだ!任期も残り少ないので、今期では間に合わなかったことにして、次年度の理事に考えてもらおう!」となりがちなのです。

 

対応が遅れ、滞納額が高額になった場合、相手の方はお金に困っているから滞納しているわけですから、「滞納している100万円を一括か1年以内の分割で支払って下さい。」という無茶なお願いが叶うはずもなく、回収が困難を極めることも少なくありません。

 

ですから、そのようなことになる前に、こまめに滞納を解消しておくべきなのです。