滞納額が高額になる前に対処すべきことは前回お話ししたとおりですが、実際に滞納が発生した場合に、管理組合としてはどのように対処すべきでしょうか。
このような場合に、委託している管理会社が回収してくれると思っている理事の方も多いのですが、管理会社は入金が遅れている場合に支払の督促までは行ないますが、それ以上の対応は行なわないのです。
なぜなら、債権の回収は法律業務に該当するので、弁護士以外の者が他人の債権を回収することは弁護士法に違反してしまうからです。
ちなみに、同じ理由でマンション管理士などのコンサルタントも、管理組合に代わって回収行為を行なうことはできません。
そうなると、管理組合の理事メンバーが滞納者に督促しなければならないのですが、同じマンションの住人というご近所様にあまり強いことを言いにくいのが世の常です。
そして、勇気を振り絞って督促状を書いて送りつけても、無視されてしまったような場合には次にどうしてよいか分からず、途方に暮れることになります。
実は、管理組合のことを定める区分所有法(正確には「区分所有に関する法律」といいます。)には、このような管理費等の滞納に備えて、管理組合が回収しやすくなるような制度がいくつか設けられています。
例えば、管理費等を滞納したままマンションの部屋を売却した場合、滞納管理費等の債務が購入した人に引き継がれる制度があります。また、裁判をすることなくマンションの部屋を競売するための制度も存在します。
しかし、そのような制度を使いこなすには、法律や裁判手続などを熟知していないと難しいので、結局は弁護士などの専門家に依頼しないと解決が困難となるケースが多いのです。
つまり、滞納が発生して管理組合からの督促も無視されるような場合には、早期に弁護士などの専門家に依頼して、滞納額が大きくなる前に解決する必要があるのです。